ARTIST
アーティスト
ルナティックアートという
独自のジャンルを確立
私は、幼少のころからずっと画家になることを夢見ていました。
しかし、心のどこかにあった「絵描きでは食べていけない」という思いが、私自身を別の道へと誘いました。
10代、20代の頃、実際に進んだのは彫刻の道でした。
高校を卒業後、九州産業大学芸術学部に入学し彫刻を専攻、思うところがあり中退し石材店に勤務、安定したサラリーマン生活を送りました。しかし、30代を迎えた時、自分にとって大切なものを失ってしまうという悲しい転機が訪れ、私は人生のどん底を経験しました。
そうした中、私の心の中で封印していたはずの思いが解き放たれたのです。「失うものはもう何もない。絵描きになろう。絵で飯を食べよう」。抑えきれない感情。私は画家になるのだと腹を決め、以来、現在まで約40年間絵を描き続けています。
私の作品ジャンルを一言で表現するならば、それは「ルナティックアート」。月とうさぎをモチーフに描くアクリル絵画です。絵の中の月が本当に光っているように見える技法を使い、美しい月夜の風景を描きます。それとともに、実在の人物を擬兎化(ぎとか)し、モデルの顔の特徴や性格、心の動きまで表現しようというものです。懐かしさや、幸福感、ときには切なさを感じて、穏やかな優しい気持ちになっていただけたらと思いながら描いています。
例えば昼間仕事ですごく嫌なことがあったとして…そんな時には、部屋の明かりを消して私の絵にスポットライトを当ててもらい、好きなBGMをかけて過ごしてもらえれば、今日あった嫌のことも忘れ、素敵な優しい時間につつまれることでしょう。実際に、私の回りにもそんな方が何人もいます。
絵には、そんな不思議な”力”もあるんでしょうね。画家冥利につきます。
自分らしくあるために。
これからも修行は続く。
私が絵の世界に入って、長い月日が経ちました。年齢も決して若くありません。
だからこそ、私は今「決してあきらめないぞ」という思いを強くしています。
例えば私はバイクを趣味にしているのですが、これは絶対に続けていきたい。「歳をとったらバイクを卒業して、乗るのは自動車だけ」というのはよくある話ですが、私はバイクにこだわりたい。自分が年老いていくことは仕方がないことだけど、あきらめたくないのです。
もちろん、若いころのように大胆な運転はしません。でも、運転が円熟味を増しているという感覚がある。それがすごく楽しいんです。とにかく自分が楽しいと思えることをする。これこそが歳をとらない秘訣だと思います。
よく女優さんで、還暦や古希を過ぎても本当に綺麗な人がいますよね。あの人たちは、日々を楽しんでいる。そんなふうに僕も、絵の創作やバイクを通して日々を楽しみたいと思うのです。
そして、人との出会い、ふれあいも大切です。私は2年に一度、福岡県糟屋郡須恵町にある「森の美術館」で個展を開いているのですが、会期中はずっと会場に詰めています。それは、作品を鑑賞してくださる方の反応を見るためです。実際に会話をすることもあります。来場者の方々とコミュニケーションを行うと、得るものがたくさんありますし、それが絵を続ける原動力になるのです。
好評をいただいた場合でも、決して図に乗らず、自分を戒め、常に向上心を持つことを心がけています。
最期まで自分らしくあるために、これからも修行は続きます。
SPECIAL ART MOVIE
この世界観そのままに絵を動かしてみました。
星は移ろい、灯火は時には強く、顔をなでていく風を草で表現してみました。
これはTHE GALLERY Q からのギフトです。
どうぞお楽しみください。